閃光のように 第17話


シュナイゼルは味方になる条件を提示しようとした!
絶対なにか企んでいる!
先手必勝★ナナリーは写真をちらつかせた!
激レア:ルルーシュの写真(空白の7年間ver.)だ!
物欲に負けたシュナイゼルがあっさり味方になった!
テロとクーデターで皇帝を挟み撃ちだ!
新皇帝クロヴィスは傀儡に決定!
裏で操るのは女王様影の支配者ルルーシュだ!
そしてルルーシュをナナリーが操るぞ!
いいのかブリタニア!大丈夫かブリタニア!



そんなこんなでトントン拍子に話が進み、ルルーシュは自室でパソコンに向かい、鼻歌を歌いながらテロ準備を進めていた。自分はゼロとして、正義の味方としてブリタニアを外から切り崩し、スザクはクロヴィスとシュナイゼルと共にブリタニア軍人として内側から破壊していく。
なんて完璧な策!
スザクと協力すれば不可能など無いから勝ったも同然!
俺の親友で、いずれはナナリーの騎士になるスザクのカッコ良さと愛らしさを今から世間にも知らしめねばと、スザクとゼロが活躍する舞台を整えるのが今のルルーシュの日課だった。
今日もパソコン2台起動で、1台で作戦を練り、もう一台でカッコイイ(ルルーシュ談)スザクの活躍をループ再生していた。

「お前、枢木スザクがそんなに好きなのか?」

若干呆れを含んだ視線を向けながらC.C.が言った。

「ん?好きだが?」

スザクを嫌う理由が何処にある?
キョトンとしながら首を傾げてきたので、まあ、そう言う反応なら別にいいかとピザを口に運んだ。

「大体、スザクは童顔で可愛いが、いざとなったらキリッとしてカッコイイだろう?」

可愛くてカッコイイとか卑怯だよな。
我が親友ながら恐ろしい男だよ。

「・・・そうか?」

ノロケか?ノロケなのか?
自分はカッコよくて可愛い上に美人だって自覚した上での発言か?
スザクなんかよりお前のほうが恐ろしいぞ、色んな意味で。
そう思いながら眉を寄せ目を眇めたC.C.を見て、ルルーシュは笑顔を消してすっと目を細めた。

「お前の目は節穴か?まあいい。そんなスザクの横に、可憐で愛らしく、だがいざとなれば凛とした表情を見せる俺の天使ナナリーがいる姿を想像してみろ!」

まさに俺の理想!完璧だ!

「・・・・・・・・そうか」

テンションが上がりまくったルルーシュに若干引き気味にC.C.は返事をした。
ルルーシュのタイプドストライクなナナリー。
同じふわふわ童顔なスザクも間違いなくドストライクだ。
そんな二人が対でいる姿はルルーシュのまさに理想なのだろう。
ルルーシュの愛は与えるもの。
愛でるもの。
二人を愛し、二人の幸せを想うことに幸福を感じているため、自分がその二人の中に入るという考えはないらしい。
つまり、ルルーシュの思い描く幸せの中心にルルーシュはいなかった。
自分がスザクと(同性愛)あるいは自分がナナリーと(犯罪)という”自分が”どちらかと、あるいは両方と恋人となる未来を想像することさえきないのだ。
そもそも、ルルーシュがナナリーとスザクに向けている愛情は尋常では無いが、なぜか恋愛面においては超がつくほど鈍感なため、この暴走気味の愛情=恋愛になる気配は今のところない。
・・・まあ、こいつはこのままでいてもらおう。
恋愛事情に聡くなるのは不老不死になってからでも遅くはない。
寧ろ邪魔者スザクとついでにシュナイゼルとも決別してからでいい。
そんなハイテンション中に立てた作戦。
それを実行後にルルーシュはひたすら凹むことになった。
その作戦とは。
奇跡(笑)の藤堂の救出だ。

「藤堂は俺が救う!」

お前の先生だからな!
優秀な人材だから騎士団に入れて幹部にもするぞ!

「ほんと!?有難うルルーシュ!」

僕ってホント君に愛されてるよね!

そんな会話も交わされ決行された藤堂救出作戦。
その最中に発表された予想外の宣言が原因だ。
それはユーフェミアの「スザクは私の騎士」というもの。
これにはクロヴィスもシュナイゼルも予想外で、邪魔な害虫が消えると一瞬ほくそ笑みはしたが、その後のルルーシュの凹み方が尋常ではなく、このままではマズイと騎士宣言をどうにか撤回させるために動いていた。

「俺の!俺のスザクを!俺の理想を奪うというのかユーフェミア!!」

俺の親友を!
俺のナナリーの騎士を!!
将来ナナリーとスザクと、その子供と孫たちに囲まれて余生を送るという俺の人生設計を壊す気か!!俺の幸せを奪うのか!
ナナリーとスザクそっくりの愛らしい子供たちを俺から奪うのか!!

「っっ!!ルルーシュ、そこまで僕のことを!!」

愛してるよルルーシュ!

「スザク!お前この話を受ける気か!?受けないよな!?」
「もちろん断るに決まってるじゃないか!」

そんな二人を冷めた眼で見つめながらピザを頬張るC.C.。
にっこりと殺気を放つナナリー。

「でもスザクさん。マスコミの前で宣言された皇族の発表ですから、唯の軍人・・・しかも名誉であるスザクさんに拒否権はありませんよね?あとお兄様。確かにスザクさんの事は好きですが、勝手に結婚させないでくださいね?」

ナナリーの言葉に、二人のテンションは一気に下がった。

「・・・ナナリーの言うことは正しい。スザクはランスロットのパイロットではあるが所詮はナンバーズ上がりの一軍人。弱者であるスザクに、強者であるユーフェミアの命令に逆らう権利はない。それがブリタニアという国だ」

悔しげにルルーシュは唇を噛んだ。

「ええ!?僕の意志はどうなるの!?」
「スザクさんの意志は関係ないのですよ?」

残念ですスザクさん。
ほんとうに残念ですが、ちょっとお兄様に近すぎるので、少し離れるぐらいがいいかもしれませんね。
あと、貴方の嫁になる気はありません。

「そんなのおかしいよ!間違った手段で手に入れた騎士に意味は無い!」

僕もナナリーは好きだけど、嫁はルルーシュって決めてるから。
あと、いい加減兄離れしてよね。
ふふふふ、あははははと、静かな攻防を続けるナナリーとスザクの姿はルルーシュには仲睦まじく見え、この二人が引き離されるなんてありえない!と、今後の作戦を次々考え始めた。
だが、そんな彼らの意思は無視し、スザクは強制的にユフィの騎士に任命された。

生か死か。

最終的にはその二択を提示され、スザクは生を選んだのだ。
クーデターが起きてクロヴィスが皇帝になるまでの我慢だと言い聞かせて。
そんな気持ちの中起きたキュウシュウ戦役。
そこで交わされた会話はなかなかのものだった。

『私のことを好きになりなさい!』
『お断りします!』

即答だった。

『え!?どうしてですか!?』
『僕にはすでに愛する人が・・・守るべき人がいるからです!!』

ガウェインに乗っていたC.C.は、凸凹主従の会話に腹を抱えて笑い出し、ルルーシュはよく言ったスザク!流石ナナリーの騎士になる男!ああ、ナナリーにも聞かせてあげたい!!と内心ガッツポーズだったのは言うまでもない。
スザク曰く守りたい人はルルーシュ。
ルルーシュは当然ナナリーのことだと大喜び。
二人の考えがずれていることにもC.C.は大笑い。
ナナリーはこっそり盗み聞き。

「ユフィ姉様にはっきりと拒否の姿勢を見せたことだけは評価しますが、駄犬には去勢が必要かもしれませんね」

と、黒い笑顔で言っていたとか。

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